【No.29】 【参入の現場】成功者の健康習慣を、ドクターアミノと検証してみました——筋トレ・プロテイン・アミノ酸

若手起業家や経営者、セレブの間で定番となった「筋トレ+プロテイン」。その習慣は本当に健康につながっているのでしょうか。アミノ酸研究の第一人者“ドクターアミノ”こと大谷勝先生への取材と最新の研究知見をもとに、筋トレの適量、プロテインの飲み方、そしてアミノ酸という「最小単位」で補う発想について、私自身の60歳節目もあり考えてみました。


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ホーチミンでも東京でも、ここ数年で会う若手経営者の多くがジムに通い、カバンにはプロテインのシェイカーが入っています。成功者の新しい「制服」のようにも見えるこの習慣は、果たして本当に健康のためになっているのでしょうか。アミノ酸研究の第一人者に話を聞く機会を得て、私自身の習慣も含めて見直してみました。

「筋トレ+プロテイン」は成功者の新しい作法になった

ホーチミン市のローカルジムラーの間でもプロテインは大変人気があります。SNSを開けば、鍛え上げた体とともに朝のルーティンを語る起業家の投稿が並びます。自己管理ができている人、という印象を与える点で、筋トレとプロテインはビジネス上の「信用の証」にもなりつつあります。

私も今年60歳を迎え、健康について考える時間が増えました。だからこそ「みんながやっているから正しい」という前提を一度疑ってみたいと思ったのです。そこでお話を伺ったのが、私が日頃からお世話になっているアミノ酸の権威である、東京大学大学院でアミノ酸の研究を重ね、“ドクターアミノ”として知られる大谷勝先生です。

※AI生成によるホーチミンの高層ビルを背景にしたフィットネスジムのイメージ

筋トレは体に良い。ただし「見せるため」の量は別の話

まず誤解のないように書いておくと、筋トレそのものが健康に良いことは多くの研究で示されています。2022年に英国スポーツ医学誌に掲載されたメタ分析では、筋力トレーニングを行う人は総死亡や心血管疾患、糖尿病などのリスクが1〜2割ほど低いという結果が出ています。

興味深いのは、その効果が最も大きくなるのが週30〜60分程度で、それを超えて量を増やしても効果がはっきりしなくなる点です。

大谷先生は、筋トレでつける筋肉の中には、俗に「見せ筋」と呼ばれる、見栄えのためだけのものがあると指摘します。(筋肉をビジネスにしているボディビルダーの方々の事ではありませんので、あしからずご了承ください。)健康のための筋トレと、体を大きく見せるための筋トレは、目的もやり方も違う。後者をさらにプロテインで大きくしようとすることには、むしろ健康上の疑問が残る、というのが先生の見方です。

30gのシェイクが体の中で起こしていること

プロテインは一般に、1回あたり約30gを水やスポーツドリンクに溶かして飲みます。大谷先生はここに3つの懸念を挙げました。

一つ目は、満腹感です。食事をしなくても満たされてしまうため、「食べる」という人間本来の営みを置き換えてしまう。食事は栄養補給であると同時に、噛む、味わう、消化するという体全体の活動でもあります。

二つ目は、消化への負担です。大量のたんぱく質を一度に処理するのは、胃腸や肝臓にとって軽い仕事ではありません。なお腎臓については、健康な成人では高たんぱく摂取が腎機能を悪化させないとする研究もあるため、腎機能に不安のある方は医師にご相談ください。

三つ目は、腸内環境です。消化しきれなかったたんぱく質は大腸で腸内細菌に分解され、その過程で体にとって好ましくない物質が生まれることが、複数の研究で報告されています。

一方で先生は、プロテインが最も力を発揮する場面もはっきり示しています。病床で食事が十分にとれない方や、療養中の高齢の方にとっては、欠かせない栄養源になる。プロテインそのものが悪いのではなく、使う人と量の問題だということです。

「最小単位」で補うという発想

たんぱく質を細かく分解していくと、最後はアミノ酸にたどり着きます。体はたんぱく質をいったんアミノ酸に分解してから吸収し、必要なたんぱく質に組み立て直しています。

大谷先生が勧めるのは、この最小単位を直接とる方法です。アミノ酸サプリメントは1回3g程度と少量で、分解の工程を経ずに吸収されるため、体に届くまでが速く、消化器への負担も小さい。量が少ないので食事の妨げにもなりません。先生は、アミノ酸は腸内の善玉菌の働きを助ける面もあると話していました。

ただし、アミノ酸サプリが食事のたんぱく質を丸ごと置き換えるわけではありません。大谷先生自身も以前から、たんぱく質は食事から、それを補う形でアミノ酸を、という組み合わせを勧めています。

※AI生成による鎖状のたんぱく質が粒(アミノ酸)にほどけていく図解イメージ

「やめる」ではなく「減らして、足す」

ここまでを踏まえた私なりの結論は、プロテインをやめる必要はない、ということです。

筋トレは週に無理のない量で続ける。たんぱく質の基本は肉や魚、大豆、卵などの食事からとる。そのうえで、習慣になっているプロテインの量を少し減らし、その分を少量のアミノ酸で補ってみる。体を大きくすることより、長く動ける体を保つことを目標にするなら、この「減らして、足す」は検討する価値があると考えています。

ビジネスの世界でも、規模を大きく見せることと、長く続く組織をつくることは別物です。体づくりも、案外同じなのかもしれません。

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本記事は筆者の取材と一般的な研究知見に基づくもので、特定の製品の効果効能を示すものではありません。持病のある方、腎機能に不安のある方、服薬中の方は、食習慣を変える前に医師にご相談ください。

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■現場からの示唆:

  1. 筋トレは「多いほど良い」わけではない。週30〜60分程度の無理のない量を続けることを基準にする。
  2. たんぱく質の基本は食事からとる。プロテインは目的と量を見直す。
  3. 体も組織も、大きく見せることより長く続くことを目標に置く。